編集後記EDITORIAL POSTSCRIPT
第8号特集担当:日埜直彦・伊藤孝・松田法子【特集担当】
Naohiko Hino + Takashi Ito + Noriko Matsuda【HBH editors】
まずはアンケートで紹介されたデータベースをご覧いただきたい。こんな凄いデータにクリックひとつでアクセスできるあっけなさに瞠目するはずだ。まさに最先端の知見であり、その内容の豊かさに魅せられあっというまに時間が経ってしまう。いくつかのデータベースはあまりに専門的すぎてそもそもどう扱うべきデータなのか見当もつかないものもあったが、総じて世界中で科学者が協働し、知の蓄積を推進する力強いエネルギーを感じさせるものだ。このエネルギーのうえに生環境構築史は展望されねばならないだろう。
(本特集担当:日埜直彦)
近年、とくに論文公開後、各種データは一人の研究者や研究グループに閉じられておらず、広く公開されている。いわば人類共有の財産であり、その構築・利用に関する一側面は本特集で紹介されている通りである。乱暴な言い方をすれば、公開されている情報だけを活用しても立派なサイエンスができる状況なのだ。一方、伝統的ないわゆる理系学部に入学すると、観察、観測、実験などなど、自身で一次データを得る訓練を徹底的に受ける。それはもちろん大切な技能である。さらにデータベースを活用する場合においても、自身で手足を動かし、実際に生データを得た経験を有する情報に関しては、その精度や限界が肌感覚で理解できる。逆にいえば、そういう経験をもたない項目に関してはまるで勝手がわからない。そのような限界もあるということを頭の隅に置きつつ、データベースと向き合うべきなのだろう。
(本特集担当:伊藤孝)
この特集は、地球は人にどのように認識されているのか、という担当編集同人の会話から始まった。先の7号ではその歴史的変遷を扱い、本号ではその現在を対象にした。生環境構築史Webzineの第2クール(5~8号)は人が生きるための環境=生環境の「データベース編」になることを意識していたが、その直接的な応答の号でもあった。
データとは概ね客観的でフラットなものというイメージがあるが、その収集、編集、公開の可否判断、そして受容の各局面には、専門性という性格と種々の意図や目的がある。そんなデータベースの世界に、地球はどのように映し込まれているのか。また、地球の諸現象はいまどのようにモニタリングされているのか。そしてそもそも、データベースはどんなふうに作られているのか。
特集号で実現できたことと追いつかなかったことがあるが、データベース制作者の熱くリアルなインタビューも2本収録できた。
(本特集担当:松田法子)
[2024.5.31 UPDATE]
(本特集担当:日埜直彦)
近年、とくに論文公開後、各種データは一人の研究者や研究グループに閉じられておらず、広く公開されている。いわば人類共有の財産であり、その構築・利用に関する一側面は本特集で紹介されている通りである。乱暴な言い方をすれば、公開されている情報だけを活用しても立派なサイエンスができる状況なのだ。一方、伝統的ないわゆる理系学部に入学すると、観察、観測、実験などなど、自身で一次データを得る訓練を徹底的に受ける。それはもちろん大切な技能である。さらにデータベースを活用する場合においても、自身で手足を動かし、実際に生データを得た経験を有する情報に関しては、その精度や限界が肌感覚で理解できる。逆にいえば、そういう経験をもたない項目に関してはまるで勝手がわからない。そのような限界もあるということを頭の隅に置きつつ、データベースと向き合うべきなのだろう。
(本特集担当:伊藤孝)
この特集は、地球は人にどのように認識されているのか、という担当編集同人の会話から始まった。先の7号ではその歴史的変遷を扱い、本号ではその現在を対象にした。生環境構築史Webzineの第2クール(5~8号)は人が生きるための環境=生環境の「データベース編」になることを意識していたが、その直接的な応答の号でもあった。
データとは概ね客観的でフラットなものというイメージがあるが、その収集、編集、公開の可否判断、そして受容の各局面には、専門性という性格と種々の意図や目的がある。そんなデータベースの世界に、地球はどのように映し込まれているのか。また、地球の諸現象はいまどのようにモニタリングされているのか。そしてそもそも、データベースはどんなふうに作られているのか。
特集号で実現できたことと追いつかなかったことがあるが、データベース制作者の熱くリアルなインタビューも2本収録できた。
(本特集担当:松田法子)
[2024.5.31 UPDATE]
- インタビュー:「地質図Navi」の夢と可能性
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Interview: The Vision and Potential of “GeomapNavi”
/访谈:“地质图导航”的梦想与可能
内藤一樹/Kazuki Naito - インタビュー:データベースの学際的利用とその実際
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Interview: Interdisciplinary Use of Database and its Practicalities
/访谈:数据库的跨学科使用及其实践
中塚武/Takeshi Nakatsuka - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Meteorology
/气象学
荒木健太郎(気象学)/Kentaro Araki - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Landscape Architecture
/景观设计
石川初(造園学)/Hajime Ishikawa - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Geology, Mineral Deposits, Geoscience Education
/地质、矿藏、地球科学教育
伊藤孝(地質学、鉱床学、地学教育)/Takashi Ito - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Earth Science
/地球科学
大河内直彦(地球科学)/Naohiko Ohkouchi - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Oceanography
/海洋学
川口慎介(海洋学)/Shinsuke Kawaguchi - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Geography, Climatology
/了解地球的数据库:地理、气候学
木村圭司(地理学、気候学)/Keiji Kimura - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Volcanology
/火山学
下司信夫(火山学)/Nobuo Geshi - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Ecosystem Ecology
/了解地球的数据库:生态系统生态学
木庭啓介(生態系生態学)/Keisuke Koba - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Geology
/地质学
小宮剛(地質学)/Tsuyoshi Komiya - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Vertebrate Paleontology
/了解地球的数据库:古脊椎动物学
中島保寿(古脊椎動物学)/Yasuhisa Nakajima - アンケート:地球を知るためのデータベース
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Questionnaire: Database for Understanding the Earth: Soil Science
/土壤科学
藤井一至(土壌学)/Kazumichi Fujii - 論考:プロットが取り結ぶ古代と現在──千年村候補地プロットの射程
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Essay: Connecting Ancient and Present: Through Millennium Village Project
/剧情贯通古今:千年村候选遗址剧情范围
中谷礼仁/Norihito Nakatani
協賛/SUPPORT サントリー文化財団(2020年度)、一般財団法人窓研究所 WINDOW RESEARCH INSTITUTE(2019〜2021年度)、公益財団法人ユニオン造形財団(2022年度〜)