生環境構築史

第8号  特集:
地球の見方・調べ方──地球を知るためのデータベース How We Investigate and Perceive the Earth — The Whole Earth Database 观察和研究地球的新方法:了解地球的数据库

地球を知るためのデータベース:古脊椎動物学

アンケート回答:中島保寿(東京都市大学理工学部)

Database for Understanding the Earth: Vertebrate PaleontologyYasuhisa Nakajima, Tokyo City University Faculty of Science and Engineering

了解地球的数据库:中島保寿、古脊椎动物学东京城市大学理工学院

Q1

専門分野において標準的なデータが集約されているデータベースはどこにありますか? ウェブサイトの場合はリンクを記載してください。以後の問いと照合するため各データベースに番号を付けていただけると助かります。とくに他分野から参照しやすいもの、単なるデータの羅列ではない工夫がなされているものがあれば読者にとって有益だと思います。基礎的なデータベース、網羅的なデータベース、異分野から参照しやすいデータベースなど、性格の違うものをいくつか紹介していただければありがたく思います。あわせて簡単な紹介をお願いします。

❶The Paleobiology Database(PBDB)
全地球上の古生物学的データ、すなわち化石記録について、国際的・学際的なワーキンググループが常時アップデートしているデータベースです。化石の分類階層、産出地点、地層の区分、年代区分、コレクション番号などの情報を、記載論文や産出報告論文をベースにデータ化しています。
その他、分類群が限定されたデータベース、各国内の化石記録に限定したデータベース、博物館や研究機関が所蔵標本について構築したデータベースなどが多数存在し、後者は研究機関のウェブサイトなどからアクセスできるようになっていることが多いです。


Q2

そのデータベースは専門分野の学会が直接運営しているものでしょうか、それとも特定の研究プロジェクトあるいは研究所などが運営するものでしょうか。概要的に教えてください。

PBDBの運営は、カリフォルニア大学を中心とする独自の学際的・国際的ワーキンググループがとり行っています。
jPaleoDBは、九州大学総合研究博物館の伊藤先生、東京大学総合研究博物館の佐々木先生、産総研地質調査総合センターの兼子先生などの研究グループが中心となり、国内の大学・博物館・資料館などの標本データベース。

Q3

ご自身はそのデータベースとどのようにかかわられていますか?

特定の分類群の化石記録を独自にコンパイルする際の情報源にしたり、参考標本の利用が必要になった時に国内での収蔵状況を調べ、収蔵庫の調査に赴くこともあります。

Q4

国際的なデータベースとは別に、日本語のデータベースがあれば教えてください。

❷日本古生物標本横断データベース(jPaleoDB)
日本国内の機関に収蔵されている化石標本に関するデータベースです。国内で産出した化石だけでなく、海外で産出し、国内で収蔵されているものも含まれます。


Q5

その専門分野において先端的なデータが蓄積されつつあるプロジェクトがあれば教えてください。複数いただければありがたいです。あわせてそのプロジェクトが検証しようとしている仮説を手短に教えていただければ幸いです。

PBDBの場合はこちらに記載されています。 https://escholarship.org/content/qt6tm05630/qt6tm05630.pdf?t=s0797i

Its purpose is to provide global, collection-based occurrence and taxonomic data for organisms of all geological ages, as well as data services to facilitate access to data for independent development of analytical tools, visualization software, and applications of all types.

すなわち、あらゆる地質年代の生物(生物化石)の産出および分類学的データをコレクション単位で全世界的に網羅して提供すること、また(コレクションのアクセシビリティの障壁を取り払い)独自の解析ツール・可視化ソフト・その他のアプリケーションを開発するためのデータへのアクセスを推進するためのサービスを提供すること自体がこのプロジェクトの目的で、実際にコンパイルを必要とする研究で役立てられています。

Q6

学際的な研究プロジェクトに参加されることはありますか? ある場合はどんな分野と関わるどんなテーマのものだったでしょうか。基礎的なデータの扱いについて分野の違いを実感することがあった場合はそのことも教えていただければ幸いです。

あります。海外産の化石などを用いて化学分析等から生物の生息環境を調べるというプロジェクトでしたが、分類群や産出層などのデータ精度が分野によって異なることを実感しました。分類学に関わっていると、こうしたデータの信頼性には特に気を使い、独自に再調査することが必要という認識でいますが、分析化学の専門家や多数の化石記録データを同時に扱う研究者にとっては、ラベル情報以上の情報に逐一アクセスすることはあまりしないように感じました。




なかじま・やすひさ
1981年生まれ。専門は古脊椎動物学で、主に日本ほかアジア地域の古生代〜新生代の水生脊椎動物の進化・系統分類・古生物地理に関する研究、骨組織や糞石などを用いた古生物の生理学的・生態学的な研究などに携わっている。東京都市大学理工学部所属。執筆監修=『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』(学研、2022)、監訳『化石図鑑(自然科学ハンドブック)』(創元社、2023)、監修=『わくわく科学図鑑 古生代水族館』(大泉書店、2022)など。

インタビュー:「地質図Navi」の夢と可能性
Interview: The Vision and Potential of “GeomapNavi”
/访谈:内藤一樹、“地质图导航”的梦想与可能
インタビュイー:内藤一樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報基盤センター 整備推進室 室長)/Kazuki Naito, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, The Research Institute of Geology and Geoinformation/ 产业技术综合研究所(AIST)日本地质调查所地质信息基础设施中心主任
地球を知るためのデータベース:気象学
Database for Understanding the Earth: Meteorology
/了解地球的数据库:荒木健太郎、气象学
アンケート回答:荒木健太郎(雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術))/Kentaro Araki, Cloud Researcher, Chief Researcher at the Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency, PhD (Academic)/云研究员、日本气象厅气象研究所首席研究员、博士(学术)
地球を知るためのデータベース:造園学
Database for Understanding the Earth: Landscape Architecture
/了解地球的数据库:石川初、景观设计
アンケート回答:石川初(慶應義塾大学環境情報学部教授)/Hajime Ishikawa, Professor, Faculty of Environment and Information Studies, Keio University/ 庆应义塾大学环境信息学部教授
地球を知るためのデータベース:地質学
Database for Understanding the Earth: Geology, Mineral Deposits, Geoscience Education
/了解地球的数据库:伊藤孝、地质、矿藏、地球科学教育
アンケート回答:伊藤孝(茨城大学教育学部教授)/Takashi Ito, Professor, Faculty of Education, Ibaraki University/茨城大学教育学部教授
地球を知るためのデータベース:地球科学
Database for Understanding the Earth: Earth Science
/了解地球的数据库:大河内直彦、地球科学
アンケート回答:大河内直彦(海洋研究開発機構、生物地球化学研究センター)/Naohiko Ohkouchi, Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, Biogeochemical Research Center/日本海洋地球科学技术机构、生物地球化学研究中心
地球を知るためのデータベース:海洋学
Database for Understanding the Earth: Oceanography
/了解地球的数据库:川口慎介、海洋学
アンケート回答:川口慎介(海洋研究開発機構)/Shinsuke Kawaguchi, Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology/日本海洋地球科学技术机构
地球を知るためのデータベース:地理学、気候学
Database for Understanding the Earth: Geography, Climatology
/了解地球的数据库:木村圭司、地理、气候学
アンケート回答:木村圭司(地理学、気候学)/Keiji Kimura, Nara University
地球を知るためのデータベース:火山学
Database for Understanding the Earth: Volcanology
/了解地球的数据库:下司信夫、火山学
アンケート回答:下司信夫(九州大学大学院理学研究院)/ Nobuo Geshi, Kyushu University Graduate School of Science/九州大学理学研究科
地球を知るためのデータベース:生態系生態学
Database for Understanding the Earth: Ecosystem Ecology
/了解地球的数据库:木庭啓介、生态系统生态学
アンケート回答:木庭啓介(京都大学生態学研究センター)/Keisuke Koba, Kyoto University Ecology Research Center/京都大学生态研究中心
地球を知るためのデータベース:地質学
Database for Understanding the Earth: Geology
/了解地球的数据库:小宮剛、地质学
アンケート回答:小宮剛(東京大学大学院総合文化研究科)/Tsuyoshi Komiya, Graduate School of Arts and Sciences, University of Tokyo/东京大学研究生院文理学院
地球を知るためのデータベース:古脊椎動物学
Database for Understanding the Earth: Vertebrate Paleontology
/了解地球的数据库:中島保寿、古脊椎动物学
アンケート回答:中島保寿(東京都市大学理工学部)/Yasuhisa Nakajima, Tokyo City University Faculty of Science and Engineering/东京城市大学理工学院
地球を知るためのデータベース:土壌学
Database for Understanding the Earth: Soil Science
/了解地球的数据库:藤井一至、土壤科学
アンケート回答:藤井一至(国立研究開発法人)/Kazumichi Fujii, National Research and Development Agency/ 国家研究与发展局
特集:地球の見方・調べ方──地球を知るためのデータベース


プロットが取り結ぶ古代と現在──千年村候補地プロットの射程
Connecting Ancient and Present: Through Millennium Village Project
剧情贯通古今:千年村候选遗址剧情范围


中谷礼仁
Norihito Nakatani

協賛/SUPPORT サントリー文化財団(2020年度)、一般財団法人窓研究所 WINDOW RESEARCH INSTITUTE(2019〜2021年度)、公益財団法人ユニオン造形財団(2022年度〜)